設計 久保田由佳 自己紹介

外と内のあいだにあるもの

公開日:2026/09/02(水) 更新日:2026/09/07(月) 家づくりについて

以前、真夏の日に訪れた古民家カフェで、縁側について少し書きました。

その日は、外に出るだけで汗が出るような暑い日。
でも、その古民家にはエアコンがなく、縁側の建具が大きく開け放たれていました。

外はもちろん暑いのに、縁側を境に、室内とは空気が少し違うように感じる。

「縁側って、面白いな」

そのときの感覚が、ずっと印象に残っています。

縁側は、家の中でもなく、外でもない。
家と庭をつなぎ、風を感じたり、庭を眺めたり、雨音を聞いたり。
季節の変化を、暮らしの中に取り込む場所です。

そんな「内と外のあいだ」が、今の家にもあったら、暮らしは少し豊かになるんじゃないかと思います。

現代の住宅では、それがウッドデッキという形で取り入れられることもあります。

朝、コーヒーを飲む。
夏の夕方、風にあたる。
まだ明るいうちから、外でお酒を飲む。

いつもの暮らしに少しだけ「外」が加わることで、時間の感じ方が変わるような気がします。

 

そしてウッドデッキには軒があるといいと思っています。
強い日差しを避けながら風を感じたり、雨の日には雨音を聞きながら庭を眺めたり。
軒があることで、ウッドデッキは「外に出るための場所」ではなく、家と庭のあいだにある、もうひとつの居場所になります。

 

昔の日本家屋には、雨戸、障子、深い軒、縁側、土間など、外と内をいきなり断絶させない「あいだ」がたくさんありました。

現代の住宅では、断熱や気密によって快適な室内環境をつくることが大切です。
そのうえで、風や光、雨音など、自然の変化を感じられる場所がある。
自然を完全に切り離すのではなく、自分たちの心地よい距離で自然とつながる。
そんな暮らしも、豊かさのひとつなのかもしれません。

 


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