

家を設計するとき、「どんな部屋が必要ですか?」とお客様にお聞きする事があります。
リビング、ダイニング、キッチン、寝室、子供の部屋・・・
暮らしに必要な部屋を考えていくことは、家づくりに大切な一歩です。
でも、設計をしていると、もう一つ大切なことがあると感じます。
それは「どこで過ごしたいか」ということです。
例えば、窓辺の椅子に座って庭を眺める場所。
キッチンに立ちながら家族の気配を感じられる場所。
薪ストーブのそばで本を読む場所。
少しだけ家族から離れて、一人で静かに過ごせる場所。
子供が床に座って夢中になって遊ぶ場所。
こうした場所は、図面では「〇〇室」と名前がついていません。
けれど、実際に暮らし始めると、そこが家の中で大切な場所になっていくことがあります。
私は、家族がいつも同じ場所に集まって、同じことしている必要はないと思っています。
お父さんはソファーで本を読み、お母さんはキッチンで料理をする。子供たちは床で遊んでいる。
それぞれが違う事をしながらも、お互いの気配を感じている。
そんな距離感も、家族にとって心地良い暮らしなのではないでしょうか。
だから、家を設計するときには「部屋」だけでなく、「居場所」を考えるようにしています。
そこに座った時にどんな景色が見えるのか。どんな光が入ってくるのか。家族の気配は感じられるのか。
季節が変わるとどんな風景になるのか。
そうやって考えていくと、同じ大きさの家でも、暮らし方は全く違うものになるのではないでしょうか。
家を設計することは、部屋をつくることだけではありません。
その人が自然とそこにいたくなるなる場所をつくること。
そして、そこで過ごす時間を少しだけ豊かにすること。
そんな「居場所」を、一つの家の中につくっていきたいと思っています。
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